助産師学校で求められるちから
- みあれ@Academy

- 2023年7月12日
- 読了時間: 5分
更新日:7月4日

助産師学校で求められる能力の一つに「臨床推論」というものがあります。
今日はそれについて少しお話ししようと思います。
臨床推論は、助産師学校入学後に鍛えられていく力でもあるし、現在、助産教育の中で最も注目されている能力の一つでもあるので、
入試の段階でその力の芽があるかどうかも見られていると思います。
たぶん、助産の専攻科入試でアセスメントの論述が出るのなんて、ほとんどこれのためと言っても過言ではないと思います。
わかんないですけど。
その臨床推論というのがどのようなものかご説明するためにいくつか資料をあたってみたのですが、正直これといってハッキリとした定義や、わかりやすく書かれているものには出会えませんでした。
そこで、私が助産学生のときに教えていただいたことを共有しようと思います。
大学院1年目の6月ごろだったと思います。
ある講義で、小テストがあったんです。
先生からは事前に「次回の講義では、骨盤について小テストをするので準備をしておいてください。」とだけ伝えられていて、実際のテスト問題は下記の画像のようなものでした。
骨盤を頭側から見た断面図が何枚か並べられていて、それぞれがどの段階の骨盤平面かを答えるというもの。

これは、助産師や助産学生にとってはお馴染みのシンプルな問題なのですが
まだ入学直後のわたしたちにとっては突然過ぎて面食らいました。
それまでのその先生の講義では、Guthmann法(横から撮影)の断面図の資料はもらっていて、どの学生も、産科的真結合線と解剖学的真結合線の違いとか、入口部、滑部、狭部、出口部、などの用語等は勉強していたのですが、頭側からの平面の画像で問われるとは誰も予想していなかったんです。
しかも、それぞれの径のサイズが書いてあるわけでもない。
(前掲の画像の赤ペンは、後日解説を受けて書き足したものです)
それに、入学したばかりなので、De LeeのStationと骨産道平面の区別や対応もできていないので、試験中はなんと書いていいのか本当に困りました。
とりあえず、1枚目の図が入口面、2枚目の図が出口部なのは分かったので、図3と図4のどちらが先かが分かれば大丈夫、と考えました。
勉強不足だった私は滑部や狭部の骨盤径を覚えていなかったので、骨盤の形を眺めていても正解がわからず・・・
結局、仕方がないので仙骨の関節の数を数えてどちらが尾部かを判断し、順番に並べて答えました。
小テストの答え合わせのあと
先生から「この問題を見たとき、どのようなことを思いましたか?そして、どのように考えて答えを導きましたか?」と1人ずつ質問されました。
私は上記のように
「De LeeのStationと骨産道平面の区別ができてないからわからない」
「ちゃんと覚えておくんだったと後悔した」
「図をずっと見ていてもわからなかったので、最後は仙骨の数を数えて並べた」
と率直に答えました。
その瞬間、先生はニッコニコ😁の笑顔で大笑い😁
「わたしは今日、皆さんにこの課題を出して良かったと思います。
わたしが狙った通りの反応をしてくれました😁」
いま思うと多分、先生は初めからこの小テストをするために、事前の講義では平面の資料を渡していなかったんですよね。
そして私たちも講義で配られたもの以外の資料で勉強しようとするほどの勤勉さがなかった💦
結局、このとき先生が期待したのは、自分の知らない事象に出会ったときでも、限られた(しかし正確な)知識をもとに、推測して判断していく、という体験をさせることだったようでした。
このプロセスがつまり、臨床推論なのだと思います。
A=BとB=Cという知識があればA=Cであるということがわかる。
これが推論。
これから助産師学校入学を目指す皆さんに覚えておいて欲しいのは
助産師学校ではとにかく「習ってないのでできません」という言い訳が通用しない、ということ。
A=Cということを習っていなくても、自分で推論できる必要がある。
助産に限らず、臨床では必ず自分の知識や能力を超える事象には遭遇します。
そういう場面でも、自分の手元にある知識と、客観的データをもとに問題解決はしていかなくてはならない。
急変している患者さんを目の前にして、こんなの習ってませんけど!?(╬ʘдʘ)とかブチ切れていても仕方ないですしね。
そういう場面で必要なのが臨床推論です。
そこまで難しい場面でなくても
例えば「Aさんの妊娠24週のHb:9.5」と「妊娠中の貧血は胎児の発育遅延のリスク因子である」という情報を知っていたら「Aさんの胎児は発育遅延の可能性がある」⇨「AさんのFBWを確認する必要がある」と考えられますよね。
結局のところ臨床推論とは、知識と知識をつなげて使う力のことをいうのではないかと思います。
助産師学校の入試でも知識問題のみの場合は、貧血の基準値や各週数でのFBWを知っていれば答えられるのですが、アセスメントを論述する形式の場合は、それぞれの情報をつなげてどのように解釈したかを記述する力が求められます。
私のアセスメント添削コースで心がけているのは、この力のトレーニングです。
客観的な問題集を解くだけではなかなか身につかない力なんですよね。
そして習得にはある程度時間がかかります。
普段の実習でのアセスメントや、日々の業務の看護記録などの際に、少し心がけてみると良いかもしれません。
あせらずじっくり、力をつけていきましょう😀
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